東京高等裁判所 昭和27年(ネ)1885号 判決
又民法第六百十二条が,賃借人において賃貸人に無断で賃借権を第三者に譲渡し、賃借物を使用収益させた場合に賃貸人に解除権を与えているのは、賃貸借は継続的契約関係で当事者間の信頼関係を基調とするものであるからであつて、賃貸人の承諾を得ない賃借権の譲渡それ自体をもつて賃借人の背信行為とみているものと解すべきである。従つて、控訴人が前記賃貸人に無断で本件土地の賃借権をその地上建物とともに前記会社に譲渡したことにつき当事者間に争がなく、且つ、控訴人の右賃借権譲渡にかかわらず、それが前記賃貸人に対する背信行為であるとするに足らない特段の事情があると認められない本件においては、右賃貸人の有する解除権に何等の制限を受けるものではない。その他本件記録に現われた疎明資料によつては右賃貸人の解除が正当な権利行使でないとするに足る事実の認むべきものがない。もとより控訴人の右賃借権無断譲渡により発生した賃貸人の解除権は、その地上建物の罹災焼失によつて何等の影響を受けるものではない。